羽根木公園の家 – 景色の道

緩やかな坂道を上がると、L字に道が左折する正面の角に空き地になった敷地はあった。敷地に立って今来た坂道を見ると、普段見慣れない直線状のとても長い街並みがとても印象的に見える。また逆側、羽根木公園の森を見ても、この景色を家の中にうまく取り込めば、あたかも森の中に住んでいるような気持ちになれるのではないかと考えた。しかし、この2つの対極的な景色をピクチャーウィンドウにするにはまったく違う形のフレームを用意する必要があった。厳しい北側斜線によって切り取られるマキシマムに近いボリュームの東と西に建築の輪郭でピクチャーウィンドウを作る。東側の直線的な街並みはあえて曲線のフレームで柔らかく切り取り、さらに水平に完全にガラスがなくなる窓で、その上の空を切り取る窓と街を切り取る窓に分けた。西側の公園の森は窓を全開にできるようにすることにより、あえて抽象的な白いシャープな開口にし、森の写真を恰もコラージュしたような背景を作った。

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