瀬戸内海に面する4.6haの敷地において、美術館、ヴィラ形式の宿泊施設10棟、レストラン棟から構成される施設である。海岸と平行で敷地のほぼ中央に、長さ180m、高さ8.5mのミラーガラスの壁を建て、その反射でランドスケープが倍増される効果を作り出した。ミラーガラスの壁の前面には水盤を設け、水盤上には、瀬戸内海とそこに浮かぶ島々をイメージした、8棟のカラーガラスに覆われた可動展示室を設置した。それらは展示のストーリーにより配置を変えられるように、台船の技術を使い浮かせて二人ほどで押して移動できる。
宿泊施設は、レセプション棟と10軒のヴィラを敷地に点在させた。レセプション棟には、新たに開発したエンジニアリングウッド「木製L型アングル」を採用し、10棟のヴィラは連泊や再訪の楽しみ作りとして、全てデザインを変えている。そのうち4軒は、初期に設計したヴィラの代表作である「ダブルルーフの家」、「家具の家」、「紙の家」、「壁のない家」を再建させた。さらに「十字壁の家」は、坂が学生時代に大きな影響を受けた、クーパーユニオン建築学科学科長のジョン・ヘイダックへのオマージュとして設計したものである。