10年以上も皆に親しまれた仮設の「紙の教会」が複合的な教会施設として生まれ変わった。全体の配置計画は、中央に多目的なイベントのための大きなコートヤードを囲み、事務棟と司祭関連棟を連結する要として円形プランの聖堂を置いた。何とか元の教会の内部の雰囲気を残すため、形態的には聖堂としての空間のボリュームと高さを十分に確保しつつ、近隣の低層の住宅に配慮し、頂部のない逆円錐形を傾けた形状とした。鉄骨造で形作った逆円錐形の中には、鼓の形のように膜を張り、元の教会のように自然光を十分に取り入れた。膜面には、外壁に帯状に入れられたガラス窓により、光と陰の変化によって、時間を視覚化できる空間を作った。内壁には、元の教会では主要構造として楕円状に配置されていた直径30㎝の紙管の代わりに、今度は吸音材として直径5㎝の紙管を仕上げに使った。