大浴場の屋根は、ポンピドーセンター・メスの屋根と同じ、各ジョイントに2方向の材しか交わらないよう六角形と三角形のジオメトリーを、上・下弦が木片で構成されたフィーレンディールトラス状の竹を編んだ帽子のような構造のドームとした。女性サウナには細い丸太を天井まで並べた木製ベンチを設けた。正面の大きな窓からは一面に広がるスイデンを望むことができる。壁には山形県産の果樹で制作した「果樹パネル」が掛けられ、自動給水によって木にかかる水分が蒸発し、果樹の香りが室内に広がると共に室内の湿度を一定に保つ役割を担っている。水風呂は既存露天風呂に隣接して配置し、スイデンに浸かっているような開放感を与える。男性サウナは既存男湯露天風呂の六角形の天窓に合わせて水風呂を六角形とし、サウナ室内のベンチも正六角形柱を組合せたハニカム構造で構成している。庄内の山並みを眺望できるよう横長の窓を配置し、一番低いベンチは可動式のスツールとすることで自由に座る場所を移動させ、利用者が各々の風景を楽しめるようにした。天井は、既存屋根の木梁架構の形状を活かし、木梁の形成する六角形の彫込み天井とした。