写真家グレゴリー・コルベールの写真と映像展示専用の移動式展覧会場“ノマディック美術館”は、今回のお台場で3都市目の移動となった。この建築は、毎回現地でレンタルする部材(6mのシッピングコンテナ)と、リユース部材(屋根とコンテナの隙間を埋めるアルミフレームと膜材、床用木製パネル、小屋組の紙管トラス)そしてリサイクルする部材(長さ10m直径74cmの紙管柱-ヨーロッパなどトラックで輸送できる地域ではリユースする)の3種類のコンポーネントから成り立っている。コンテナは敷地の最寄りのコンテナヤードから会期中のみ借りるので、各地で建物の色は変わり今回がもっともカラフルな配色となった。建物のプランは敷地の条件で変更する。一昨年のニューヨークではハドソン川の桟橋の形に合わせ205mの長さの直線状のギャラリーとなり、昨年のサンタモニカと今回の東京では、100mの平行な2本のギャラリーの間にニューヨークではなかったシネマとミュージアムショップが加わり、面積が4200㎡から5300㎡と広がった。どちらの場合でも建物の荷重と部材数を最小限にするため、144台(ニューヨークは148台)のコンテナは市松模様に積み重ねられる。唯一基礎の設計のみ各地の法規の違いで毎回新たに設計し許可を取る必要があるが、建設期間はいずれも2ヶ月間で完了する。