アルバニアは、歴史的に様々な国の影響を受け、建築的にも“重層”な街の景観を持ち、都市も様々な建築のタイポロジーを有している。そんな伝統の中でも「千の窓の街」と呼ばれるベラト市街は、アルバニアの重要なユネスコ世界遺産として特出している。 今回の、都市の中心部に建つ高層ビルは、上記のようなアルバニアの伝統的なタイポロジーを垂直に積み上げることにより、一つの街の中心にあるすべての機能、商業空間、オフィス空間そして住空間を持つ、現代版のコルビュジエのユニテ・ダビタシオンと言える提案とした。 低層部は、人々が商店や公園を散歩して楽しめる中間的領域を作り、自然に人の憩いの場となり、周囲の緑地や広場とも連続していく空間である。 中層部は、商店の上階が、生活や仕事場となるような、まさにベラト市街のような、小さいスケールの建物が重なり、重層し、コラージュのような偶発的な景観を作り出す。 高層部は、歴史的にも伝統的にも無い建築のタイポロジーとして近代的であり、合理的なタワーであるが、現代の最重要課題である環境問題に関する自然エネルギーの利用として、太陽光発電を最大限活用するファサードとした。高層部は一般的に閉鎖的なカーテンウォールで覆われるが、自然換気ができる内外の中間的領域であるコートヤードをタワーのあちこちに組み込んで、呼吸できる高層タワーとした。
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