3月11日の震災直後から50箇所以上の避難所をまわった。そして、町に十分な平地がなく十分な数の仮設住宅が建設できないという悩みを女川町の安住宣孝町長から聞いた。そこで、海上輸送用のコンテナを使った3階建仮設住宅を提案した。構造的にも防災的にも問題がないこのシステムも、前例がないということで建設許可が下りるのに予想以上の時間がかかってしまったが、町長の英断のお陰で実現することが可能となった。これまでもコンテナを使った建築は世界中にあったが、我々のシステムの特色はコンテナを市松模様に積み、比較的狭いコンテナの中に子供部屋とバス・トイレを入れ、コンテナとコンテナの間のオープンな空間に全面ガラスを入れ、開放的なLDKをつくれることである。県の予算を使うため、室内の大きさとしては他の一般平屋仮設住宅と同じ基準に合わせた。しかし一般仮設住宅は十分な収納がなく、家中に物や服があふれたり、後から買った家具だらけで室内が狭くなり、物と物の透き間で生活せざるをえない状況である。それを解消し、美しく広々とした生活ができるよう我々が集めた義捐金を使い、ボランティアに造り付け家具を作ってもらい、十分な収納があり、すっきりとした室内空間を作った。
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