日本は、木造のエンジニアと木造ファブリケーターのレベルや、エンジニアリング・ウッドの開発がヨーロッパ、特にスイスとドイツから大きく水をあけられている。そんなリミットの中で今回のプロジェクトは、日本でもつくれる金物の使用を最小限にした木造ラーメン構造の単純なジョイントを考えた。長手方向の柱・梁は幅広の集成材(柱:450㎜、梁:600㎜)をずらして交差させ、そのオーバーラップした広い面(600x450mm)に8本のドリフトピンを打ち、それらの剪断力で剛接合とする。短手直行方向の梁も長手方向の梁とずらして柱に貫通させ、その飛び出た部分に直行方向の梁が乗るようにした。短手の梁のジョイント部は、木の三角形の梁受けを入れ、剛接合とした。敷地は川を塞いだ緑道(サクラ並木)に面する角地である。そこで1階レストランは、角の柱をなくし、ガラス引き戸を両面全面に開くことにより、店内と外部テラスそして緑道と空間が連続するようにした。レストランの内装には、紙管でイス、ベンチシート、スクリーン、天井をつくった。