「パリの新たな価値発信」プログラムとして行われた、セーヌ川沿いのシュリー・モルラン区画の再開発プロジェクトのひとつだ。パリの中心地に位置しセーヌ川に向かって開けたこの区画は、必然的に川からパリ市街地に向かう玄関口として、モニュメント的な役割が期待された。そこで一面ガラス張りの建物にコンサートホールとマーケットホールを設けることで、人々を開発区画の中心部へと誘うシークエンスとなるようデザインした。さらにコンサートホールは、建物内部に吊り下げられた巨大な木製の卵型オブジェ内部に収められ、オブジェ下部には高さ3メートルの空間が広がる。そのため、外からはまるで建物内部に無重力空間が広がり、コンサートホールが浮かんでいるように見える。一方、南側に設けるマーケットホールには、透明なガラスの天井を採用することで自然光が効果的に差し込み、遊び心のある空間が広がる。